アトピーのお悩みはご相談ください
アトピー性皮膚炎とは、かゆみを伴う皮疹が全身に現れ、皮膚症状は良くなったり悪くなったりを繰り返すことが特徴の皮膚疾患です。
アトピー性皮膚炎患者の4人に1人は、症状による精神的な悩みを全く医師に伝えていないという実態が、アトピー性皮膚炎の患者さん1万300名を対象にサノフィが実施したとしたアンケートにより明らかになっっています。(2017年7月13日)
さまざまな皮膚疾患の中で、生活の質が最も低いといわれているADは症状に付随する抑うつ、不安、睡眠障害などメンタル関連の有病率が高いためです。そのため、アトピーに対しては皮膚症状の改善だけでなく、症状に影響された自律神経の乱れにも対策が必要です。
鍼灸治療は、アトピーだけでなく、アレルギー全般と自律神経症状の治療が得意分野です。
アトピー性皮膚炎の原因
アトピー性皮膚炎の発症に重要と考えられているのがアトピー素因です。
アトピー素因とは
- 家族にアレルギー体質の人がいる
- 自身が気管支喘息や花粉症・食物アレルギーなどがある
- IgE抗体を産生しやすい体質
といったことです。
具体的になぜアトピー性皮膚炎を発症するかはまだほとんど分かっていません。
これまでに明らかになっていることとしては
- 予防、治療、肌の保湿が非常に重要
- 乳幼児のアトピーは、他のアレルギー疾患の引き金になる
- 他のアレルギーや感染症などによって皮膚炎が増悪する
年代別アトピー性皮膚炎の症状
乳児期
症状が出始めるのは生後2〜3ヶ月ぐらいからです。目の周りやおでこ、頬が赤くなりブツブツができたあと、ジクジクした状態になります。同じ様な湿疹が頭部もふくめ体の広い範囲にでき、強いかゆみのため指でひっかいたり布団に湿疹をこすりつけるような動きがみられます。
幼児期
4ヶ月前までステロイドを使用していた3歳児の手
4ヶ月前までステロイドを使用していた3歳児の足
皮ふがやわらかい首や肘の内側、膝の裏側などに湿疹ができます。かゆみが強く、かきむしっているうちに皮ふがかたくなります。その他の部分は乾燥し、皮ふの表面は鳥肌が立っているように見えます。
小学生
かゆみが強まり、睡眠に支障が出たりイライラが続いたりします。冬の乾燥や夏の汗や汚れが刺激となってかゆみが増します。耳たぶの下が切れたり、耳の後ろがジクジクしたりといった症状もみられます。全体の皮ふがカサカサになって粉をふいたり、皮ふの乾燥が進んだ部分は硬くなった湿疹となります。
中学生以降
2年前までステロイドを使用していた中学3年生の手
2年前までステロイドを使用していた中学3年生の足
中学校に入学すると症状はおさまることが多いです。しかし、症状が改善されない場合、皮ふの乾燥がさらに進み、赤く、硬くなります。
アトピー性皮膚炎の治療
アトピーの治療の基本は
- 薬物療法
- スキンケア
- 悪化要因の除去
の3つです。
これと同時に本当に必要なのは、体を正しい状態に改善、維持してくれる鍼灸治療です。
薬物療法
薬物療法の基本は、ステロイド、免疫抑制剤(タクロリムス軟膏)の外用、抗ヒスタミン剤の内服による治療があります。
重症例では免疫抑制剤(シクロスポリン)の内服、生物学的製剤(デュピクセント®,一般名:デュピルマブ)の投与を組み合わせた治療があります。
デュピクセント® は、2018年4月より日本に導入された新しいアトピー性皮膚炎の治療薬で、IL-4とIL-13という物質の働きを抑える働きがあり、皮膚の炎症を抑える皮下注射の薬です。
ステロイドの軟膏は、体の部位、重症度によって使用量が異なります。
例えば、顔は毛穴が多く薬の吸収がよく、効果も得られやすいためミディアムクラス以下の弱いステロイドを使うことが原則となります。
重症度とは、以下のような基準があります。
重症 | 高度の腫脹/浮腫/浸潤ないし苔癬化を伴う紅斑、丘疹の多発、高度の鱗屑、痂皮の付着、小水疱、びらん、多数の掻破痕、痒疹結節などを主体とする。 |
---|---|
中等度症 | 中等度までの紅斑、鱗屑、少数の丘疹、掻破痕などを主体とする。 |
軽症 | 乾燥および軽度の紅斑、鱗屑などを主体とする。 |
軽微 | 炎症症状に乏しく乾燥症状主体 |
ステロイド外用薬は、血管収縮作用の強さによって、日本では5段階に分けています。
1群が最も強く、5群が最も弱い段階に分類されています。
Ⅰ群 | ストロンゲスト |
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Ⅱ群 | ベリーストロング |
Ⅲ群 | ストロング |
Ⅳ群 | マイルド |
Ⅴ群 | ウィーク |
スキンケア
スキンケアの基本は、石けん、シャンプーをしっかり泡立ててからやさしく洗うこと、そして、しっかり洗い流すことです。洗剤の残りがあると肌荒れの原因になります。
入浴後は、タオルで拭いたらすぐにしっかり保湿することです。皮膚の水分量は、タオルで拭いたら1秒後でも乾燥が始まります。慌てる必要はありませんが、入浴前に用意しておいて、すぐに塗りましょう。
悪化要因の除去
アトピーを誘発、悪化させてしまう原因は極力排除できることが望ましいです。
悪化要因としては、小麦、卵などの食物、ダニ、ハウスダスト、花粉、化粧品、喫煙、最近、真菌、ストレスなどがあります。
鍼灸治療
アトピー性皮膚炎の患者さんにとって最もつらいのは、とにかく痒いということです。痒くてかきむしってしまった結果、湿疹や傷ができてしまうと、炎症がさらに悪化してしまうという悪循環にもなります。
症状のひどい時、痒くて夜も眠れないような時は、ステロイド等を使用して、まずは痒いという症状を抑えてあげることが必要です。
もうひとつ重要なことは、ステロイドに依存しないということ。 ステロイドを使うことで炎症を抑えることができますが、それは対症療法でしかありません。
ステロイド自体がアトピー性皮膚炎を治しているわけではないのです。
そこで、一番大切なことは、アトピーはアレルギー体質が原因ですから、その体質そのものを変えてあげることです。
体質を変える方法として、鍼灸治療があります。
乳児、幼児など子供に対しては、小児鍼で皮ふを強くするツボや体の余分な熱をとるツボ、免疫、自律神経系を正常化してくれるツボを刺激することで赤みやかゆみ、皮膚の乾燥を抑えます。
アトピーはアレルギー体質が原因なので即効性を求めるのは難しい時もありますが、継続的に治療すると皮膚の再生力が高まり、アレルギー反応が出にくくなってきますので、アトピー症状に悩むことなく楽に過ごせるようになります。
小児鍼について
小児鍼とは
小児鍼とは、子供の病気を治療するための鍼治療です。
子供用の鍼は、皮膚をつついたり、刺さない鍼です。
子供は大人と違い感受性が豊かです。そのため、ちょっとしたことで病気になる反面、軽く皮ふに刺激をするだけで十分な効果が現れます。
小児鍼をしている時は、くすぐったくて笑っているお子さんばかり。治療中や治療後の帰路で寝てしまう子もいるくらいです。
小児鍼といってもお灸をする場合もあります。
もちろん、お灸も子供でも大丈夫な熱くない、気持ちいいお灸です。